テニスの練習で簡単なボールを何十球も大量に打たせて理想的な動きを獲得させようと試みる場合に、基本的には打球者自身がその過程で修正を繰り返して収斂させていくものです。
しかし、往々にしていくら打っても、そしてそれが上手くいっていなくてもまるで動きの改善をせずに同じことをずっと繰り返してしまうということが多いです。
そうなるとコーチが改善するためのアイデアをアドバイスしなくてはならなくなりますが、外部からそうしたことを言われても頭は受け入れて納得してくれますが身体ではそう簡単に反応できないものです。
なぜなら、そうした同じ動きを繰り返しているのはその動きしか現状では出来ないからです。
もしも練習者がいろいろなスポーツや身体を動かす経験が豊富な人ならば、コーチがわざわざ介入しなくても自らどんどん適切なモーション修正を繰り返して動きは見る間に洗練されていくはずです。
ただし、何か特定のジャンルのスポーツや動きのみに秀でている場合は逆にそれが災いして何もしていない場合より修正が難しいなんてこともあり得ます。
ジュニアのレッスンでほんとに早廻しのビデオでも観るかのごとく上達速度が著しい子は幼い頃からあらゆる身体の動かし方を身につけているもので、いわゆる運動神経が良いというのは生来のものもあるのでしょうが後天的に獲得されていくものなんだと思います。
だからお子さんをスポーツ万能に育てたいならば3歳とか4歳くらいからいろんな動作を経験させる、たとえばボールを投げる受ける、そして蹴るなんていうのは絶対に早くさせてあげた方が良いでしょう。
出来れば利き腕だげでなく両方を使って、片手だけでなく両手を使って投げるとかあらゆる出来うる限りのアクションをさせてそれを身につけさせておけば将来どんなスポーツを選んでもその上達速度は目覚ましいほどになることは間違いないでしょう。
でも残念なことに生来の運動神経が良い子供もいると言いましたが、実はそうした運動経験修行に積極的に関わろうとする子の8割くらいはそうした先天的素質を持った子供で、あとの2割くらいがそれほど才能に恵まれてはいないが後天的に運動好きになって能力を獲得できるというらしいです。
その後天的にすこしずつ素質を磨いていった2割のタイプの方がやがて努力が実ってスポーツで成功することも少なくないそうです。
大切なのは上手く身体を動かして何かのスキルを身につけることに強い関心を持つことなんだと思います。
それが諺でいうところの「好きこそものの上手なれ」ってことなんでしょう。
もう一つは端からみるとあまり上手くないけど本人は少しずつ上達していく面白さ楽しさに夢中になる「下手の横好き」ってのもありますが、下手だからこそ上手く成りたい願望が人一倍つよいということで大いに結構なことだと思います。