ウィニングショットが送り出す新素材ポリエステルストリング、シリコン・ツアー125。
テニスのゴンちゃんでも話題となった注目の新作を約一ヶ月前に受け取ってテストしましたのでレビューしたいと思います。
・・・まあ、ブログを見ての通り途中でポリジナモスのロール買っちゃってる時点であまり使いこなせなかったんだろうなってバレバレでしょうけど。
正直に白状すると僕のレベルでは難しいガットでした。
新しい打球感でしなやかかつ強靭なストリングとして開発されたこのガット、手で触れただけでは硬い印象ですが、ボールを捉えるとしなやかに乗り、それでいて適度な弾きでボールが放たれる。
ボールをコントロールするしなやかさと叩き潰す強靭さを確かに両立しており、ハードヒッターが使えばより正確なフィーリングを得る事ができるのではないでしょうか。
しかし思ったよりも硬い。
シリコンと融合させたポリという事で文字だけで判断すると柔らかいのかな?と最初は思うのですが、ストリンギングに時に触れた第一印象はもう硬いの一言。
張った時の感想でも硬い連呼ってぐらい。
この硬さが強靭さだって事でボールを潰すと結構良い球が出ます。
ただ反発性能が悪くはないけど良くもない。
硬さを思うとアシストが少なく、このガットの良いところを引き出すには少しパワーが必要になると感じます。
そしてシリコンを使った事による新しい打球感、最もアピールしたいと思われるこのポイントについては残念ながら自分の感想としてはイマイチ、ピンときませんでした。
シリコンを融合させる事によってはたしてどんなメリットが生まれるのか。
ポリガットにどんな革命を起こせるのか。
僕のパワーではもしかしたらまだシリコンツアーの魅力を引き出せていない可能性があるかもしれません。
・打球感やコントロール性能
シリコンツアーで最も優れていると思うのがこの部分だと思います。
ストリングは触った時も軽く打った時も硬めという印象ですが、その硬さに対してシリコン素材が働いているのか、ボールをしっかり捉えた時の球持ちは非常に良いです。
硬いガットだと打ったらすぐ弾いて飛び出してしまうイメージですが、シリコンツアーはボールをすぐには弾かずしなやかに受け止めます。
その為、ポリの硬さを活かしてボールを潰して打つ人にとっては強打時に接触時間が増えるような感覚になり、強打のコントロール性が高まるのではないでしょうか。
球乗りが良い、しなやかに受け止めると表現しましたが、打球時のガットの撓みは殆ど感じられません。僕が非力なのもあるかもしれませんが。
そして球持ちがある一方で、ボールが飛ぶ時になると予想よりも軽快にボールが弾いて飛びます。
この部分は硬いガットらしい打球感です。
シリコン素材によってしなやかさと弾き感を両立しているようです。
打った時に変な振動もなくピュア、弾きの良さがあるので打球感に嫌なところは少ないです。
しかし硬さや球持ちの長さに対し反発力はそこまで高くない、そうなるといくら打球感が綺麗でもボールを飛ばすのがしんどく、少し負担になるように自分は感じました。
この面倒臭さを含めて打球感が似ているなと感じたのが4G。
確かにシリコンツアーの打球感は良い性能を持っているように思いますが、手で触れた感触が硬いのと、打った時に微妙な粘り気がある、そしてボールがあまり飛んでくれないという点で4Gととても似ている。
ボールの飛び出しはシリコンツアーの方が軽めですが、ボールの飛びが似たようなものなので使い易さはどっちもどっち、シリコンツアーに大きなアドバンテージがあるとは思えない。
もっと言っちゃえばテンション維持性能では断然4Gでしょうし、ハードヒッターがコントロール性を欲しいと思うのならシリコンツアーより4Gの方がメリットは大きいかと思います。
いやいや、4Gよりももっと軽快な弾きが欲しい!・・・となったら、他に近いのはレーザーコードかなと思います。
レーザーコードと比べると打球時の球持ち感はシリコンツアーが上、でも弾き感はレーザーコードの方だと思います。
ボールの飛びはこちらもイーブン、そしてテンション維持ならレーザーコード。
こちらもそこまで性能で突き放されてはいないと思います。
・反発性能
決して悪いレベルではありませんが飛びの良いポリとは言えません。
打球時にあまり撓まない為パワーアシストは感じられません。
また、球持ちも長く感じるのでボールを飛ばすのには苦労するタイプです。
・スピン性能
シリコンを使った新素材ポリとの事ですが、シリコンとポリと言うとシリコンコーティングを施したRPMシリーズや、シリコンを浸透させたポリツアーファイア/スピンGが以前から販売されています。
シリコンツアーは製造段階でポリとシリコンを融合させているので、今までのガットよりもシリコンの割合が高いポリ。
そこまでしてシリコンと一体化しているとなると気になるのはスピン性能。
シリコンの力でストリングの滑りを良くしてスピン性能を高めているのがRPMシリーズであり、ポリツアーファイアとスピンGです。
しかし期待とは裏腹に、まず張る時にガットを触った感触だと妙なベタつき。
本当にこれでスムーズにスナップバックしてくれるのか?と思いましたが、実際に打ってみてもやはり嫌な予感が的中しました。
ガットを動かすととにかく音が鳴る。
ギギギとなってガット間の抵抗がとても強い様子。
スナップバックは期待できないと言っても過言ではないです。
シリコンの性能は表面よりも内部の方で活きているようです。
ただし、硬さがあるのでボールを潰してスピンをかけた時は中々威力が出る。
ボールが浮くように伸び、バウンド時に加速するようなスピンを見せたのが印象的。
・テンション維持性能
今回もスマホアプリのラケットチューンで計測してみましたが、結果はポリジナモスやアスタポリと殆ど変わらず、特に良い点はありませんでした。
張りたてから翌日プレーした後のテンション推移を見ると、シリコンツアーは-10%のダウン。
ポリジナモスは-11%、2016年に出たアスタポリは-8%という結果。
ちなみにテンション維持が売りのメビウススピードの場合、一回目のプレー後は-3%、一ヵ月後のテンションは-10%でとんでもない差が出ている。
そもそもポリはテンションが落ちやすいのでそういうものだと割り切れるものですが、しかし最近のテンション維持重視のポリとは勝負にならない。
でも同じように少し硬さがあり、それでいてボールが楽に飛ぶメビウススピードの方が使い易さで勝ると思います。
・総括
コントロール性能は良い、しかし飛びは平凡、スナップバックもイマイチ。
強烈なボールを放つには結構な力が必要であり、ボールを潰すのが得意な選手じゃないとこのガットを武器にするのは難しいと思います。
ボールを速くしてくれる、スピンを強くしてくれるといった分かりやすいプラス要素は少ないガットです。
ポリジナモスと比べると、ポリジナモスの方が打球にパワーが出て、スピンも素直にかかってくれ、打球感もボールをマイルドに包み込んで、尚且つしっかり打ち返してくれる。
自分としてはポリジナモスの方がボールの質を全体的に上げてくれると思いました。
という具合で自分にはイマイチだったシリコンツアーですが、いち早くレビューしたゴンちゃんの動画を見てみると、おっとマズいぞ、感想に差が・・・