日本リーグ・全日本の価値

僕が初めて杉田祐一を知ったのは高校生の頃に日本リーグの決勝トーナメントを見に行った時の事でした。

日本リーグは実業団によるリーグ戦でATPのポイントは一切付かない。

観戦料はタダで、僕が行った2009年と2010年に出場していたビッグネームには杉田祐一、伊藤竜馬、添田豪、守屋宏紀、吉備雄也、小ノ澤新、本村剛一、石井弥起、岩見亮、松井俊英、そしてATPランキング最高33位を記録した盧彦勳らがいた。

日本テニス界のトップがほぼ全員いて、無料で見る事ができたのがちょっと前の日本リーグだった。

僕が日本リーグを観戦したキッカケはテニス部のコーチの紹介で、1度目は同学年の部員全員でトッププロの試合を見に行ったのだった。

後の日本人3人目のシングルスATPツアー覇者、当時錦織しかいなかった夢の100位切りどころか47位と60位がそこにいた。

もっと言うと2009年と2010年に4大大会シングルス本戦に出れたのは錦織圭と、2010年全英で初出場を果たした添田豪の2人のみという時代に、後に本戦出場を果たす守屋宏紀もいた訳です。

当時プロ選手について殆ど知らなかった自分は日本リーグがあったからこそ一流のテニスを沢山知る事ができました。

ただ、日本勢のレベルが上がった今となってはトップ層はほぼ姿を消してしまっている。

日本リーグに限らず、世界ランクを上げる過程においてポイントの付かない大会の優先順位はとても低く見られているように思える。

昨年のリオ五輪は特に、全米前に消耗するから錦織にはあまり無理して欲しくないという論調が少なからずあった気がする。

オリンピックはスポーツの祭典、様々なスポーツが全力を尽くす中でテニス選手は手を抜く・・・とか言い出したらそもそもオリンピックはアマチュアによる競い合いが原点とか、まあ、キリの無い話になりそうな難しい問題。

サッカーのワールドカップはやたら規模がデカいのに、テニスのデビスカップだってこの前は強豪フランス相手じゃ勝ち目無いから錦織出なくていいとか、そういう雰囲気もあったと思う。

今となってはもしかしたら杉田と西岡の力あれば何とかなっちゃいそうって気もしますけどね。

まあ、これらと比べると日本リーグはもっと優先度が低くなるのは仕方が無いのかもしれない。

後はランクの付かない大きな大会と言えば全日本選手権。

これも高校生の時、学校に決勝戦の無料チケットが送られて来たから2009年の杉田祐一対添田豪の決勝を見る事ができた。

確か決勝のチケットは毎年送られてきていると聞いている。

そう言えば他校の人に聞いてみた事無かったけど、うちの学校に来るという事は神奈川とか東京ならどこの学校も貰っているのかな?

全日本もランクが付かないにも関わらず、2016年は守屋、2015年に添田、14年では杉田が、4大大会で本戦出場を果たした選手達が参加している。

上を目指すにあたってある意味障害にもなる日本リーグと全日本、彼らがどうして出場しているのは契約のしがらみか・・・なんてのもありそうですが、少なくとも全日本の方には深い思い入れがあるって話もテニス雑誌でよく目にします。

そして世界ランクの上がらないこの2つの大会は、学生がプロのテニスを知る事のできる貴重な機会という側面も強いと思います。

日本人3人目のATPツアーシングルス優勝者の杉田選手は今年の2月にポイントの付かない日本リーグの決勝トーナメントに出場していました。

もし今年の日本リーグを欠場していたら今頃もっと上のランクだったのではないか、日本リーグが一見足枷のようにも思えてしまう一方で、日本人歴代2位になる選手のプレーを見れるチャンスが子供や学生達にあったという事。

テニスの人気がもっと上がるには、子供や学生が一流のテニスに触れ易い環境が必要不可欠だと思います。

こういう真剣勝負の舞台で日本屈指の選手達を知る機会となり、テニスにもっと夢中になれるキッカケになると思います。

流石に次回の日本リーグには杉田選手はまさか出ないとは思いますが、実業団日本一を決める日本リーグと、プロアマ問わず日本一を決める全日本の価値が上がれば、テニスを好きになる人、続ける人、戻ってくる人がもっと増えるんじゃないかなと。

全日本も日本リーグも、世界への障害ではなく日本屈指のレベルの大会で、子供がトップレベルに気軽に触れられる貴重な大会です。

これからどんどん日本人選手が世界に通用していき、国内の大会に出なくなってくる流れの中。

例えば、日本リーグは杉田選手が初の高校生選手として出場し、後に守屋選手も高3で出場しましたが、もっと高校生や中学生のトップレベルの選手達の出場枠があったら、世界に通用する選手が生まれる可能性が上がったりするのではないでしょうか。

そして同世代の選手がプロに挑む姿を見に学生が観戦に来て、よりテニスを知って貰えるのでは。

尤も、日本リーグに出場する選手は企業とちゃんとした契約を結んでいる人達ですし、そもそもかつてのインハイインカレを牽引した猛者達が集う魔境でいくら有望でも高校生中学生がまともに相手できるのか、とか、そんなすんなり罷り通る話ではないですけど。

ユース枠というか、そういうのを設けて若い有望株がレベルの高い戦いをリーグ戦で沢山経験できたら良いのでは・・・と思ったりするけど、そもそも僕如きがそんな戯言を言う前に現時点でフューチャーズやチャレンジャーズの予選やWC大会に凄い子達がわんさか挑んでいるか。


カテゴリー: 未分類 | 投稿者クレー 21:56 | 1件のコメント

コメント(1)

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